今の山・未来への取り組み

池川木材工業(有)会長 大原儀郎
会長が語る学校では教えてくれない自然の話

弊社会長が昔話を始める前にいつも口にする言葉。
子供の頃の体験談をもとに自然の持つ力や失われていく自然を「昔話・土佐弁編」でお届けします。

森の今昔物語 森の今昔物語

山広葉樹の森に木漏れ日がさす風景や・整然とした針葉樹の植林、ワシはどっちを見てもほっとできる。
ワシの住む池川町(現 仁淀川町)で森というたら、杉や桧のような針葉樹林が普通じゃが、春の芽吹きや初夏の深緑・秋の紅葉時期は、植林の間にポツリポツリうわった(生えた)ケヤキや他の広葉樹の色が映えて、まっこと(本当に)きれいでのぅ。まっこと(本当に)絵の具を散らしたようなぜよ(ようだ)。

野ウサギ

山は四季を通して、いろいろな表情を見せてくれるけの・・・。 ワシがまだ若いじぶん(若い頃)、ちょうど昭和30年頃か・・・、材木の伐採・搬出の仕事をしよった時代は、季節ごとに山での楽しみがいくつもあった。

四季折々の山菜や野草、野生動物との遭遇(イノシシや野ウサギ、タヌキ、たまにはマムシとおうた(会った))、ケモノ道の脇から出る湧き水を飲んだりできた。しょう(すごく)うまいもんじゃった。直接肌で山の豊かさを感じよったねぇ。

今はその当時より山の状態がうんと(とても)悪うなっちゅう(悪くなっている)。

ここ数年の木材価格の低迷と森林価値の低下が森林荒廃の要因じゃあないろうか(ではないだろうか)。 ちかごろ世界的規模で森林保全・管理の重要性が問題になったと同時に、ワシら生産者側は環境問題を考えて、消費者に安心して買うて(買って)もらえる商品を提供する義務があると思うんじゃ。

そのためには国民みんなぁ(皆な)で森を守り、ちゃんと育てながら国産材を有効に活用していかんといかん。息の長い一歩になるけんど、ワシらが今その一歩を踏み出さんといかん時代になったんじゃろうね・・・。


森と空気 森と空気

森林の中で

森林の中で思わず"あーっ 気持ちがええなー"と深呼吸することはないかよ?
空気が"うまい"とか"緑の香り・・・"というのは樹々の発散する様々な成分のおかげ。森林浴は樹木達からワシら人間への自然のおすそ分けなんじゃろうねぇ。

植物や樹木から出る成分が複雑に混ざり合うて、体の活性を促したり鎮静効果を発揮するえいもん(良いもの)が、総称して「フィトンチッド」と呼ばれゆうのと(呼ばれているようだ)。現在もフィトンチッドらぁ(など)の木の持つえい(良い)成分については化学的に研究が進んで、香りや人体への影響など詳しい事がだんだん分かってきたみたいじゃのぅ。

ワシらぁ(自分達)が出した二酸化炭素を森林は文句も言わんときれいにしてくれよる。都会におる人らぁ(人達)に毎日意識してもらうのは難しいけんど、機会があったら是非樹々に囲まれた場所で深呼吸をしてみいや(してください)。

同じ空気でも、時と場所や季節ごとにいろいろな色や香りを楽しめると思うぜよ。そしてよ~に(よ~く)考えてみてや、森林の営みの偉大さを・・・。



森と水(豊かな森) 森と水(豊かな森)

今では誰でも知っちゅう(知っている)ミネラルウォーターはきれいな森がくれたおいしい贈り物。

ワシの住む池川町(現 仁淀川町)は森林に囲まれちゅうおかげで、水道水でも、げに(本当に)うまい。
ワシが森林の持つ保水力に気が付いたんは、子供のじぶんじゃった(子供の頃だった)。

当時学校から帰ると、カバンをピラリっと(ポイッと)放っちょいて(放っておいて)、ちらちら走って(一目散に走って)裏山へ遊びに行ったもんよ。その時は靴じゃのうて(靴ではなくて)自分でのうた(自分で編んだ)"ワラ草履"じゃった。雑木林を走くり回って(走り回って)気が付いたらワラ草履の底がジュワーッと湿っちょった。家にいぬるじぶんには(家に帰る頃には)足の裏までビッタリ(ビッショリ)濡れちょった。それだけ広葉樹の茂る林には「保水力」があったんじゃのぅ。

今の森林ゆうんは(森林というのは)昭和初期からの植林が大きゅうなって、時代の流れと一緒で世話をするもん(人)もトシをとりすぎて管理がほとんどできんのが実情よ。

植える・育てる・収穫する(森林資源の循環利用)

この池川の山の中を見ても広葉樹はちょびっと(わずかな)の範囲にしか生えてないきのぅ(生えていない)。 植林は"間伐"という作業をせんと(しないと)、なかなか立派な木にはならん。

それに木が密集してふとる(成長する)と地面に日光がささんき(ささないので)、土壌がやせて下草(雑草類)が育たん。そこへ雨が降ると表土が流れやすう(やすく)なるき、結局泥流や土砂崩れの原因を招くのよ。

最近じゃぁ、ちったぁ(少しは)森林管理も地方自治体らぁ(など)で積極的にやりだした(行われだした)。森を「守り・育て・使う」ことは、水とは何のつながりもないみたいなけんど、一滴の水を守っていくには本当に大事な関係なんでよ。


森と海 森と海

おいしい水を育てんといかん山が汚れたり貧弱じゃったら、海の生物までが生きていけんなる。
森林と海をつなぐ地域の人らぁ(人達)の環境保護の意識も年々高こうなって(高くなって)、海の漁師が山に広葉樹を植樹したという話も聞いた。
大変すばらしいことじゃないろうか。ワシ一人の力で植林や森林管理をしても限界がある。けんど(だけど)一滴の水を生む山から大海原までがグリーンロードでつながっちゅうんやき(つながっているのだから)、ワシも山の中から微力じゃけんど頑張っていかにゃならんと思う。

ワシは今こう考えちゅう(考えている)。森林を守るけんど、木材として大事に使うて商品にして販売する。それで得たお金はまた森を守る資金に少しでも還してく・・・。
実際そうしていかんとワシらを含めた森林に携わっちゅう人らぁは(携わっている人達は)皆なぁ(皆な)ちゃがまるぜよ(ダメになってしまうよ)。海と山は緑の糸でつながっちゅう(つながっている)恋人同士なんじゃき、お互いがいたわり合わんといかんのじゃないかよ・・・・。ワシはそう想う。

くじら

高知の海にはクジラがおる。
有名なよさこい節の一節に、"おらんく(自分の家)の池にゃ潮吹くサカナが泳ぎよる・・・"という有名な歌詞がある。この歌にあるように土佐湾で元気にりゅうりゅう(ウヨウヨ)泳ぎゆう(泳いでいる)クジラや魚達の姿を想像しもって(想像しながら)、ワシも山のてっぺんから前向きに自然豊かな森創りに取り組んでいこうと燃えちゅうがよ(燃えているんだよ)。


池川木材工業(有)社長 大原栄博
社長が語る未来に向けて池川木材工業が取り組むこと

高知県の森林率は日本一位です。県土の84%が森林であり、蓄積量は1億8千万㎥(住宅600万戸分、大型トラック1200万台分)があり、年間の成長量は推定で300万㎥(住宅10万戸分、大型トラック20万台分)にも及びます。

現在の原木生産量は年間60万㎥(2万戸分、大型トラック4万台分)程しかありません。

森林は適度に使われて初めて守られて行くのです。(1戸=30㎥、大型トラック1台=15㎥で積算)

池川木材工業の原動力 池川木材工業の原動力

伐採
その1 山からお店まで その1 山からお店まで
山からお店まで一貫生産

弊社は林産(山から木材を伐採・搬出する)から製材・加工までを一貫して自社で行っています。
同業メーカーの中では珍しいことなんです。

その一貫生産の利点をフルに活かす!
例えば木材の産地がハッキリしていることや、豊富な材料を使って量産加工ができる。
分業化が進められているのが現状ですが、池川木材は今後も一貫自社生産の姿勢を貫いていきますよ。
だからこそ良質の商品をお客様にお届けできるんだと確信しています。


その2 社員の熱意 その2 社員の熱意

いい材料があって、最新の技術や機械を導入してもそれを動かすのは社員です。
簡単に言えば社員の熱意あってこその池川木材なんです。
様々な個性の社員が適材適所で力を発揮して、機動力を生み出しています。理想の職場というにはまだまだ努力が必要ですが、粘り強いエンジン(従業員の熱意)があるからこそ成り立っているんです。

また現場では扱う材料が自然素材ですから、それなりに昔からの知恵やノウハウが必要になってきます。林産や製材部門ではなおさらです。若い従業員は経験豊かな先輩社員からよく怒られたり、励まされながら少しづつ成長していますよ。我々経営陣も根気強く指導してくれる社員には本当に頭が下がりますね。本当に頼もしい限りです。



自分流自然主義 自分流自然主義

日常生活の中で自分は本当に環境保護に努めているのだろうか?少しでも意識を持って取り組む事が、大きな力を生むと考えています。
自分自身にとっての真の環境(自然)保護とは、一体何なんだろう?最近自分なりに捕らえている環境保護という問題について少し考えてみたいと思います。

"自然保護"とか"環境問題"というと、すぐ思い浮かぶのが山や川を守ることを想像します。大きな視点でとらえるのはとても大切なこと、でもそれはほんの一部であって全てじゃないんですよね。
日頃自分達の生活の中でも、自然破壊につながっていることが無数にあります。
例えば生活廃水や生活ゴミ、車の排気ガス。
日常生活の中では、当たり前と思っている事、疑問にも感じていない事が実は根本的な原因を作り出しているんじゃないかと感じます。
では、どうすれば少しでも環境破壊・自然破壊を食い止めていけるのでしょうか?

農業や林業・水産業、もちろん消費者までの様々な人々がいる中で、環境問題を「小さくても大きい問題」として向かい合っていくべきじゃないでしょうか。
当事者がそれぞれの視点や考え方で「自然を保護する」姿勢を持って取り組んでいくことが重要なんですよね。
すぐ身近にまできた環境問題ですから、目をそらさずに、しっかりと受け止めて真剣に考えていきたいです。


池川木材の未来 池川木材の未来

環境(自然)保護への考え方・姿勢について 環境(自然)保護への考え方・姿勢について
社会(生活)・環境(保全)・経済(資金)

池川木材の考える未来とは、社会(生活)と経済(資金)・環境(保全)という3つの柱をうまく循環させながら、持続可能な森林経営を行っていくよう考え、今後確実に実行していくことです。

これからは池川木材からも情報を積極的に発信し消費者の皆さんと手を取り合っていけるような森林保護の確立に努力していきたいと考えています。



魚釣りで人生勉強??? 魚釣りで人生勉強???

釣りとの出会いは20年前、家族でキャンプに行ったときのことです。
子供との遊びで釣りをしました。堤防で簡単な仕掛けでの釣り、もちろんお遊び気分だったのですが、気が付けば子供より熱心に釣っている自分がいたんですよね。

真剣勝負!なんですよ、釣りと仕事はね。

釣り

大勢でワイワイ行く釣りももちろん好きですが、自分が"釣り"にのめり込んだ一番の理由は、魚を釣ることに「集中」できるからでしょうね。一人磯で自然と向き合って、工夫や我慢をしながらの魚釣り。一見暗そうに見えますけど、一人で誰の助けも借りられない・・・、そう考えると自分の中身や本音が見えてきたりするんです。

趣味は人それぞれですけど、もう一つの自分を見つめなおしたり、リフレッシュする意味では同じではないでしょうか。

「何事も一生懸命!今やっている事に真剣に取り組まなければ、何も成す事はできない」と考えています。

だから『釣りも仕事も一生懸命』ですよ。


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